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門出 [土佐日記]

男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり。

それの年(承平四年)のしはすの二十日あまり一日の戌の時に門出す。そのよしいさゝかものにかきつく。ある人縣の四年五年はてゝ例のことゞも皆しをへて、解由など取りて住むたちより出でゝ船に乘るべき所へわたる。かれこれ知る知らぬおくりす。年ごろよ具しつる人々なむわかれ難く思ひてその日頻にとかくしつゝのゝしるうちに夜更けぬ。

 男も書くという日記(ゑぶろぐ)というものを、女もしてみよう(or女文字=仮名でやってみよう)ってことでやってみます。

 その年(承平四年=934年)の12月21日午後8時ごろに出発しました。そのことをちょっと書いてみますね。

 ある人が、土佐国司としての任期の四~五年ほどが終わって、お決まりの引き継ぎなんかも全部終わってしまって、任務完了の解由状とか受け取って、住んでいた国司の館から出て、船に乗るところまで行きました。あの人この人、知ってる人も知らない人もいますが、見送ってくれました。長い間、親しくしてきた人たちとは別れがたく思い、その日は一日中なにやら騒がしくしているうちに夜が更けてしまいました。

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by 紀貫之&松永英明 九三四年十二月二十一日