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「きっこの日記」五年分すべてを通読してわかった。きっこの正体(きっこの日記検証1)

去年末から話題のサイトといえば「きっこの日記」をおいて他にはないだろう。そう、MAXファンのヘアメークの日記でありながら、「構造計算偽造」問題に絡んで「スクープ」ともいえるネタを公開したことでネット内の関心を集め、ジャーナリストにも「こいつ何者だ?」と言わせ、さらには民主党議員まで引っ張り出してきたっていうスゴいサイトだ。中には「これはスクープを公開するために匿名の架空の日記で出しておいて、それをマッチポンプ的に報道するための偽装サイト。きっこというのは複数の可能性もある」なんていう陰謀論まで飛び出す始末。でも、おれのポリシーは「原典に当たれ」ってのはご存じの方も多いだろう。きっこ=横山希美子さんのことを知りたかったら、きっこの日記を全部読むことからはじめなきゃ、と思って開いてみたら、実に5年分もあって、しかもここ2年くらいは毎日5000字くらいの文字量があるというわけで、本当に大変な作業になってしまった今日この頃、皆さん、やっぱり松永はカネにもならんのにアホなことばっかりするなあとか思ってませんか?(笑)

「きっこ」という人自体が疑惑

‥‥そんなワケで、今回はきっこの日記のスタイルがすっかりうつってしまってるんだけど(笑)うつってきたのはスタイルだけじゃなくて、口調というか文体までちょっとまねしてるのだった。こういう文体模写を「パスティーシュ」といって、清水義範が得意なわけだけど、そういう話ばかりしてると本題に入れないし、またどっかで「松永のダラダラした長文はうざい」って言い出しそうなので、この話はこのへんにしとく。

‥‥そんなワケで、「きっこの日記」にはいろんな疑惑が提出されている。その典型例は、以下の二つのリンクをたどればよくわかると思う。

そこで想像したのが、きっこ氏=ジャーナリスト説である。

新聞やニュースサイトなどからの記事の転用が多いのは事実ではあるとはいえ、可成りの短時間で纏めサイト並みに情報を収集し、一つのエントリとして玄人はだしの文章が書ける、しかもニュースの度に出てくる知り合いや情報をリークしてくれる人脈の広さがあるのが「全て事実」であるのなら、フリーのヘアメイクが面白可笑しく時事を書いているように装って実はジャーナリストが文章を書いているのではないか、と想像してしまうのだ。

某新聞社のインタビューの中に、「一部では、きっこさんのことを『男性だ』『複数だ』『雑誌記者だ』など、色々と憶測している人たちもいるようですが、どう思いますか?」と言う質問があったので、噴き出してしまいました。

ネット上では「きっこ氏=MAX(マックス)のメンバーの1人」という奇怪な説までもが流れている状態である。

 あと、時系列的には前後するけど、この記事の前振りとして以前公開しておいた「ドラッジときっこの対比」について、はてなブックマークで「相違点は匿名性。ここをクリアできない限り確実にソースロンダリングに活用されるので類似点だけを強調すんのはどうよ?」と書いた人もいて、つまり、「きっこは匿名」と思ってる人もいる。

 でも、きっこがどういう人なのかってことを知るには、まずきっこの日記を読まないと話にならないんじゃないの?と思ったのが、今回の「きっこの日記」通読をやってみようと考えた理由だ。自分自身はきっこという人の主義主張をどうこう批評しようというような「批判的ジャーナリズム」ではなく、純粋に「この人ってどんな人?」っていう好奇心だけで読んだつもり。あと、ここで書いてることは、読み通しての感想だから、読む前の印象とはだいぶ違ってたことを強調しとく。言い換えれば、ここの読者の方が「そんなことは信じられない」と言ったとしても、自分としては「じゃああんたも通読してからものを言いなよ」としか返せなくなってしまう。

「きっこ」は実在の人物

 さて、「きっこの日記」の前身は「れいなの日記」。「Rooms」っていうサービス上で公開されていた携帯向けMAXファンサイト「れいなの楽屋」の中の日記だ。最初の投稿は

■2000/10/19 (木) 香港~♪

明日のASIA MUSICFESTIVALに出るためにMAXは香港へと旅立ったぁ~♪

ってもので、MAX(特にれいなちゃん)大好き&身辺雑記日記としてスタートしている。一回分もまだまだ短い。日記を始めた動機はこう書かれている。

カラオケ行く約束してた友達にドタキャンくらい (急にカレシと会うことになったんだとっ!!) 部屋でひとりで飲んでて、つまんないからケータイで遊んでて、酔ったイキオイで作ってしまった(2000/10/31の記述より)

 こうして読み始めての最初の印象は、「女性アーティストを大好きな熱狂的女性ファン」特有の雰囲気があるなぁ、というものだった。女子十二楽坊の女性ファンたちも国籍問わずいろいろ知っているけど、お気に入りメンバーとかにはもうメロメロで、そのメンバーについて語らせれば何時間でも上の空で語り続けかねない。かといって別にレズビアン的な感覚でもないのだ。そんな「女性アーティストの熱狂的女性ファン」に共通の空気がここにはある。

 それから、この書き手が、フリーでやってるヘアメークだっていうのも間違いない話だ。ある意味、自分と似ていて(というか共通点が次々見つかってしまうのだけど)、フリーの立場でちょっと芸能界に片足突っ込んだようなこともやっていて、その関係でいろいろな裏事情なんかも伝わってきたりする、という状況だからこそ書ける日記だと感じた。

 一方で、俳句なんかも好きで、言葉とか表現に興味のある人だということもわかる。

 この日記に書いてあることを総合すると、結局この人のフルネームが「横山希美子」であることもわかってしまう。名前が「希美子」というのはあちこちに出てくるし、俳人としては「横山きっこ」。さらに英訳すると『サイドマウンテン・ミラクルビューティーチルドレン』(2001/12/17)だというのだから、きっこ=「横山希美子」で間違いないだろう。もっとも、それが戸籍名かどうかは知らない。固定されたペンネームかもしれないしね。

 そして、「MAXファンでフリーのヘアメーク、俳句も作る横山希美子さん(1972年11月22日渋谷生まれ、さそり座A型、世田谷区玉川在住)が、忙しい仕事の合間を縫って毎日日記を書いていた」ということは、文字通り受け取ってかまわない事実だと言い切ってしまうことにする。少なくとも、いろんな架空日記とか、なりきり日記とか、VNI(バーチャルネットアイドル)サイトも読んできた自分としては、日記を読む限り、横山希美子という人はウェブ上の架空人格じゃなくて、世田谷区玉川在住で実在する人物だとしか思えないのだ。少なくとも5年以上に渡って細部に至るまでのキャラ設定が変わっていないのは間違いない。

「きっこの日記」の歴史

 まずは「きっこの日記」の歴史をざっと見ておこう。

 「れいなの楽屋」以外にもいくつかの携帯サイトを運営していたきっこは、2000年10月にRoomsではじめた「れいなの日記」をほぼ毎日のように更新していく。その投稿は次第に長くなっていくのだった。どうやら1回の投稿文字数に制限があったようで、長文の場合は約1000字ごとに区切って1、2と分割投稿している。言い換えれば、一日2000字とか3000字の文章が投稿されるようになっていくのだ。

■2001/05/29 (火) 更新マニア

あたしは更新マニアだ。このお部屋は、多い日も安心♪…じゃなかった、多い日には10回以上更新してる!(ツカミはオッケー♪)ココの他にもいっぱいお部屋があるから、全部合わせると、毎日5000文字以上打ってる。でもきっと、誰も見てくれてないトコもあるんだろ~な?玉手箱の中の得するお部屋に『今日のきっこ』ってゆ~あたしのその日のファッションを書いてるページがあるんだけど、毎日更新してるけど、誰も見てない可能性『大』かも?きっこ捕獲に役立つのになぁ~(爆)

 だから「2000字近いブログを書けるヘアーメイクが存在するのだろうか」なんていう感想は、彼女の実在を疑う理由には到底なりえないってことだ。その倍以上をずっと更新し続けてきたという事実があるし、それは充分に可能な範囲である。逆に言えば、毎日原稿用紙5枚なり12枚程度の文章を書くのはプロでないと無理、という思いこみの方がアリエナイザーな話なのだ。

 で、この「れいなの日記」は2001年6月12日から約1か月休んだ以外は、ほぼ毎日のように更新され続けていく。これは2003年1月6日まで続いた。

最初の数ヶ月は、ケータイを使って書き込んでいたので、文章も短く、絵文字などはドットに変わっていたりもしますが、何よりも文章が稚拙で、読むに耐えないと思います。しかし、アクセス端末が途中から高性能なケータイに変わり、そしてPCへと進化し、連日2000文字以上のエッセイを書くようになった頃には、来客数も1日平均1500人前後となり、最終的には、2年3ヶ月の運営で97万人のアクセスを記録しました。(2003/08/26より)

 ところが、ここで予告なく半年あまりの中断が入る。その後、Roomsが閉鎖するため、日記は「さるさる日記」という日記システムに移転することとなった。ここで「きっこの日記」改名し、そのオープンは2003年7月20日となる。そして、それまでの過去ログをさるさる日記に移転する作業が始まるのだった。(つまり、今読める過去ログはすべて、このときさるさるに移転されたデータである。たまに日付を間違って投稿したと思われる日記が一、二見つかった)

 さるさるでの本格的な更新開始は9月2日からで、ここからはまた連日のように怒濤の更新が始まる。こちらでも一回約1000字の投稿制限があるようで、長文を分割投稿するというやり方は変わらない。そして、次第に一日の投稿が三分割~五分割という長編になっていく(つまり、一日に3000~5000字の投稿が続くわけだ)。まさに「中毒にかかった日記サイト運営者」そのものなのだ(たまたま職業がヘアメークだったというだけで、これくらいの日記ジャンキーはネット上には珍しくない)。

日記を書く時間は「1時間まで」って決めてるし、それ以上になっちゃうと生活に支障をきたしちゃうから、ものすごいスピードで打ってる。自慢じゃないけど‥‥って前置きした場合は、たいていが自慢話なんだけど、あたしの早打ちは、そこらのOLには負けないと思う。あたしとチャットしたことある人なら分かると思うけど、口でしゃべるスピードと同じスピードで打つことができるから、長文を打つことはぜんぜん苦にならない。ちなみに、今日の日記は、プリントしてるリストの原稿をチェンジしたり、そのつど色調整をしたり、ノートで書いてるこの日記のほうは、途中で少し書き直したり、立ち止まって考えたりしつつも、ここまでで15分くらいだ。(2005/08/24、ちなみに「ここまで」は約2000字)

 現在は「きっこのブログ」が「バックアップ用」として存在しているが、こちらは投稿制限がないので分割されていない。でも、文面はすべて「日記」を写したもの(あと、小さな画像が必ず入っている)。このブログがいつ始まったかは正確にはわからないが、ここにバックアップされている最古の記事は「2005.01.13 きっこ的ワラシベ長者?」、日記でこのブログに言及した最初の記事が2005/04/13となっている。あくまでも写真を載せるためのサブコンテンツの扱いだ。

 まあそんなワケで(ちなみに「ワケで」というのは2000年から使われている彼女の口癖)、簡単に言うと「きっこの日記を通読するのは大変だった」ということを強調しておきたい今日この頃、「きっこも長いがお前も長いわ」とそろそろ突っ込みたいところじゃありませんか?(笑)

 この辺で約5000字超、きっこの一日分です。続く。

  • 2000年 004万7178字(タイトル等すべて含む、以下同じ)
  • 2001年 022万1510字
  • 2002年 046万1507字
  • 2003年 012万1424字(約8か月の休載)
  • 2004年 069万1102字
  • 2005年 156万2377字

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