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ウェブログを始めるな!

 あえて逆説的な表現をしてみます。微妙な表現が多いのですが、言葉の細部にも気をつけて書いているので、きちんと読み取っていただければ幸い。

「ウェブログを始めてみた(あるいはウェブログを始めてみようと思う)けれども、何を書けばいいのかわからない」「続くかどうかわからない」と書く人たちがいる。まあそういう人も中にはいるのかな、と思っていたが、業界側がレンタルブログを始めたり、ブログ機能を追加する傾向にある中で、どうもそういう記述が増えてきた。また、中には「ブログなんてわかんないッ!トラックバックも意味不明!キーッ!ブログなんていらない!」なんて言っている人もいて、何だかなあ、という気がしてきた。

 ここで言いたいのは、「ウェブログ」というものをやってみようと思うな、ということである。そうではなく、あなたの表現したいものがウェブログを使って効果的であるのなら、ウェブログというスタイル(あるいはウェブログ用ツールやサービス)を使ってみればいい、ということだ。短く言えば、「無理してブログを始めようと思うな、ブログは便利だと思った人が使えばいいものだ」ということだ。

 先月、レンタル日記サービスの老舗MEMORISEがブログ機能をいくつか追加した。そのブログ機能についての説明の中で3分でわかるトラックバックをリンクしていただいているので、そのことを知った次第である。

 ところが、MEMORISEでの反応はあまりよくない(と思われている)ようである。典型的な反応例としては、はてなダイアリー - 不定期読書日記「MEMORISEの新機能」の「話題の共有性などを求めずシンプルに使ってきた大半のユーザーは戸惑いまくってます」という記述だろう。「大半の」という表現が妥当かどうかは知らないが、とまどいがある様子はわかる。

 なぜこういうことが起こるのか。それはブログというものが何かものすごく特別なもののようなイメージが植え付けられてしまっているからだろう。しかし、ブログも日々更新系のサイトの一形態にすぎない(山田BBS風に言うなら、日記もニュースサイトもブログもひっくるめて「ウェブロ」でいいじゃん、ということだ)。

 アフリカゾウとインドゾウは、違う特徴もあるが、ゾウである。ヒトコブラクダとフタコブラクダは、似ているがコブの数が違う。日本の日記/テキスト/ニュース/掲示板サイトとブログは、日々更新系サイトといえばそうだし、舶来のブログにはちょっと違う特徴がある、というのも事実である。

 誤解を恐れず、言い切ってしまおう。

 今までウェブ日記をやってきた人へ。ブログは日記だ。ただ、日々の日記にコメントがつけられたり、トラックバックで意見の応酬があったりするので、他の日記との交流という要素が増えるのがブログである。それが必要なければ、今までの日記のスタイルのままでいい。
 今までテキストサイトをやってきた人へ。ブログはテキストサイトだ。ただ、ブログツールは更新が少し便利かもしれない。また、カテゴリ別に分けるだけでなく、時系列順に並べることになる。また、Battle Watcher Annexでやっていたような「続きを読む」が簡単に表現できる。それに、1テキストごとにコメントを受けることができるようになる。
 今まで個人ニュースサイトをやってきた人へ。ブログはニュースサイトだ。連邦はほとんどそのままMovableTypeサイトに置き換わるだろう。カテゴリ分けするのもそのままOK。ただ、いちいち掲示板のスレッドを立てなくても、1つのニュースごとにコメントを受けられるところがちょっと違うだろう。
 ヴァーチャル・ネット・アイドルサイト(以下VNIサイト)の人へ。VNIサイトはそのままブログだ。ちゆ12歳はまさにブログそのものである。ただ、ブログは更新ツールとして非常に便利になっているし、ちゆ板が記事そのものと合体したような表現方法となっているのがちょっとした違いだ。
 あるいはニュースサイトといっても他のサイトへのリンク収集型のサイトをやっている人へ。ブログはリンク収集サイトにできる。ただ、これはMovableTypeよりtDiaryやはてなダイアリーのように「段落重視型/日付重視型」の方がぴったり来るかもしれない。ただ、分類などをしやすいようにしようと思えば、いくらでもカスタマイズできる。
 掲示板メインで運用している人へ。ブログは掲示板だ。スラッシュドットは英米圏ではブログ扱いである。自分で話題を振り、そこに投稿を集めたいと思うなら、ブログのスタイルはぴったりだ。2ちゃんねるでも記者だけがスレッドを立てられる板があるが、これなどはまさにブログである。
 あと、ページ数が多く、記事を更新するのが面倒だと思っているウェブマスターの方へ。ウェブログツールは、限界はあるが、お手軽サイト更新ツールとしても使える。

 つまり、日本のインターネットで、日々更新系のサイトと思われてきたサイト、すなわち日記サイト、テキストサイト、個人ニュースサイト、VNIサイト、リンク収集サイト、掲示板サイトのすべてに毛の生えたようなものがブログであり、逆にいえばそれらのすべての機能を合体させたものがブログと考えればいいと思う。

 というあたりを理解していれば、「ブログを始めてみましたが、何を書けばいいのかわかりません」などという馬鹿げたことは言わなくて済むだろう。自分が書きたいことを書きたいように表現するためにツールなり表現形態があるのであって、その逆ではない。ツールのために書くのではないのだ。そして、使いたい機能だけ使えばいいのである。
 でもそういう人って案外多いのかな。オフロードで走りたいからオフロード車を買うのならわかる。しかし、何となくオフロード車を買ってしまって、週末になるとオフロードへどう行けばいいのかわからずオロオロしている人というのは、いかがなものか。それなら普通の車で普通にドライブすればいいじゃないか、と思ってしまう。今までやっていたとおりに。
 「使えそうな機能があるので、ブログ始めました。多少わからないところもありますが、いろいろ試してみたいと思います」ならいいのだが、「ブログ始めました。でも何だかよくわかりません。日記とどこが違うのだろう?」と書くのは恥ずかしいことだ、と自覚してほしいと思う。

 で、ここからは個人的な感想になるわけだが、自分自身の場合は昨年9月に今のサイトを始めるにあたって、その前からしばらくいろいろブログツールを検討していた。いや、正確には「ブラウザ上から簡単にサイトを更新できるCGIはないかなあ」と思って探していたのだ。手元でHTMLをいじってFTPでアップ、というのは案外面倒である。テンプレートを読み込んで、あとは記事本文を投稿するだけでいいツールで、できたら全ページちゃんとHTMLファイルとして出力してくれて、あとディレクトリというか分類もできて……などとかなり贅沢なことを考えていた。その結果残ったのがMovableTypeで、それがたまたまブログツールだったわけである。
 MTに出合ったときはかなり衝撃的だった。ほしい機能がそろっている。HTML出力、テンプレート機能、もちろんブラウザ上から操作できるし、CSSにもきちんと対応したきれいなソースを出力してくれる。嬉しかったのはトラックバックだ。「相互リンクしてください」という申し出があると、こちらでいちいちサイトをいじらねばならず、面倒きわまりないのだが、それも「勝手にトラックバックしてください」の一言で自動的に処理できてしまう(相手にトラックバックを送信できるより、受信のメリットの方が自分としては大きかった)。
 そういうわけで、自分にとっては「待望のウェブサイト更新ツール」が、たまたまブログツールだったという次第である。で、使い始めて、「ああ、これはこういう風に使えるな」とか「MTだとここが限界だな」というのも見えてきたわけだが、少なくとも「ツールはある。でも何を書いたらいいかわからない」という状態ではなかったわけだ(このツールにはどういう内容が最もふさわしいのかな、という試行錯誤はあったけれども)。

 最後に補足しておくと、あまり外部と接触のない日記にはそれにふさわしい内容があるだろう。テキストサイト、VNIサイト、ニュースサイトにもそれぞれのスタイルがあるだろう。あるいはメールマガジンにはメールマガジンにぴったりの書き方というものがある。そして、ブログにはブログ向きの内容(さらに言えば、MT向きの書き方、blosxom向きの書き方、NewsHandler向きの書き方、はてなダイアリー向きの書き方)もあるはずだ。ただ、ブログツールはカスタマイズの幅も大きいので、自分の表現したいスタイルにはどういう風に改造するか、と考えてみてはどうかと思う。

 いや、実は今、雑誌用のブログ入門記事を書いているのだけど、その中でブログを三つ例示しなければならない。そこで「連邦」「ちゆ12歳」「The Battle Watcher ANNEX」というのもアリかなあ、とふと思ったのだ。もちろんブログツールは使っていないし、雑誌でそんな風に紹介するわけにもいかないけど、どれもウェブロ的なサイトだと思いませんか?(少なくとも勢いがあったころは)
 というわけで、今回の記事を書こうと思ったのである。



ちょいと補足……しようかと思ったのだが、だらだら書いても仕方ないので少しだけ。2/2 00:15

 ブログで何を書くかがわかっていなくても、ブログ(という表現スタイルでも、ブログ用ツールでもいいのだが)というものを活用してみよう、という積極的な意図があればそれでいいと思う。そういう人は試行錯誤そのものを楽しむだろうから。問題は、目の前に何となくそういうサービスがあると、とにかく使わなければいけないのか、という強迫観念に駆られて、使ってみてよくわからず、かといって自分で学ぼうとか調べてみようとか試行錯誤してみようとか思うこともなく、ただ「ややこしいものを押しつけやがって。キィーッ」と怒り出すような人である。そういう人は、無理して使わなくていいから。

 トラックバックも、何か新しい機能を使えるようになりたい、という向上心があるのなら、「なかなかわからない」という発言もほほえましいものとなるが、とにかくわからんけど打ってみた、でもわからん、こんなもの押しつけやがって、キィーッ、という人は、やめておけばいいのである。別にトラックバックがなくても困りはしない。ただ、目的に合っていると思う人が使いこなせればそれでいいだけの話である。

 だから別に「ブログってどんなものかな」と思って入ってくることを私は否定しない。ただ、そこに向上心や探求心、あるいは試行錯誤の楽しみがある人はOK、そうではなくて強迫観念から始めた人、あるいはうまく使えないのを人や環境のせいにする人はやめておけ、という趣旨である(まあそれはブログに限らず、何にでも言えるわけだけどね)。

 あと、私はブログツールを使ってブログでないサイトを作るという嫌味のようなことをしていたり、逆に連邦はブログだと断定したりしている人間であるということを補足しておきたい。そのあたり読み取れない人にはこのサイトは難しいかも(笑)