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「引用」は無断でやるのが当たり前

よく「無断引用禁止」等々と書かれていますが、引用は無断でするものである、と著作権法にちゃんと書いてあります。新聞社などが無断引用禁止と主張するのは「法を逸脱」しています。

「あそびをせんとやうまれけむ」の「無断引用お断り」(2003.12.11)記事に

引用ってのはもともと無断でしていい範囲のモノ
とあるのは、まさにそのとおりです。

これについては、『クリエーター・編集者のための引用ハンドブック』(ユニ知的所有権ブックス、谷井精之助・北村行夫・宮田昇・豊田きいち・原田文夫、¥1,900)という本が非常に参考になります。

この本は著作権の専門家の方々が実務的な経験を踏まえて書かれたもので、実際に出版業界などではこれが基本となります。

内容(「BOOK」データベースより)
「無断引用」「引用の許可をください」という無知ゆえの珍妙な表現が後をたたない。「引用」とは、要件を適法に満たすことで他人の著作物を無料かつ無断で利用できる著作権法の規定なのだ。なぜこの法律をもっと活用しないのか?!

と引用しましたが、そのとおり、「まるごと転載」や「盗用」にならないように合法的に他の人の著作物を利用できる規定が「引用」なのです。

以下、引用についてこの本をもとに簡単にまとめてみます。詳細は、上記の本を参考にしてください。

まず、適正な引用の原則(谷井精之助さんの記載より)。

  1. 自分の著作物が主。
  2. 引用が必要不可欠。
  3. 原文のまま使用する。
さらにこれに加えて、引用する際の条件として
  • 出所明示
することが必要とされています。自分の創作活動に必要かつ充分な範囲での引用は、著作権者の許可なくOKと法律で認められているわけです。ベストセラー『絶対音感』が問題になったのは、出所を明示せずに引用した部分が盗用とみなされてしまったからでした。

次に、もう少し具体的な内容を豊田きいちさんの記載からまとめてみましょう。
まず引用する際の大前提は以下のとおり。

  1. 著作権は私権だが、ときに制限される。
  2. 公正な慣行と正当な範囲内の引用。
  3. 日常語の引用と法律用語の引用の差違
見出しだけ引用したのでわかりづらいと思いますが、著作権には制限があり、自由に使える場合があること。その際にはルールがあること。日常語では何でもかんでも「引用」と言ってしまえるが、法律用語の「引用」とは、「公正な慣行と正当な範囲内」のものであって、完全に合法なものであること。このあたりが押さえておくポイントとなります。

引用のときに考えておくべきことは以下のとおり。

  1. 公表された著作物であること(私信などは引用してはならない)
  2. 公正・正当な範囲とは何か
  3. 引用文は常に従の位置にある。
  4. 出所明示。
  5. 著作者人格権の尊重。
  6. 必要最小限(これは量の多少ではない)

このほかにも気になる内容がありましたので列挙してみます。
  • 引用は、必然性があれば、全部引用してもかまわない。
  • 絵画や写真などは「一部引用」はかえって「改竄」になってしまいかねないので、全部引用のほうが適切。ただし、それでは実際には困るので難しい問題となっている。
  • JASRACは、歌詞の引用について「1小節の2分の1まで」は引用と認め、それ以上の場合は全曲使用と同じ著作権料を徴収している。しかし、著作権法上はその規定はおかしい。
  • リンクは引用ですらない。出所の明示に当たる。ただし、他のコンテンツを自分のものであるかのように見せかけることを目的としたフレーム内リンクは不可(フレーム内リンクそのものがいけないわけではない)

そういうわけで、「引用は相手の許可なくやればいい」ということです。「無断引用禁止」というような変なことを言っているサイトは、明らかに著作権の認識がおかしいということです。マナーとかそれ以前の、知識の欠如として教えてあげるのがいいでしょう。もちろん、法律でいう「引用」は、出所の明示など厳格な規定がありますから、それで不利益を被ることはないはずです。

逆に言えば、引用しておいて出典を示さない(URLを示さない)人や新聞社は著作権法違反ということですね。あ、直リンクでなくても明示されていればOKですが。